『気になる5大悩みの背景』と対応策は??
子どもが中学生になると、小学生の頃とは違った新しい悩みが次々と顔を出しますよね。
親としては「反抗期だから仕方ないのかな」「自分の接し方が悪かったのかな」とどう接したらよいか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
実際に、文部科学省の調査でも不登校や友人関係のトラブルは年々増加傾向にあり、全国の保護者が同じような悩みに直面しています。
つまり「うちだけの問題」ではなく、多くの家庭に共通する壁。
今回は、そんな中学生の保護者が直面しやすい悩みトップ5をランキング形式でご紹介します。
例えば、不登校や学校適応の問題、友人関係のトラブル、思春期特有の心身の変化など…。
それぞれに背景や原因があり、解決の糸口も一つひとつ異なります。
大切なのは、悩みを保護者が一人で抱え込まず、「特別なことではない」と前向きに受け止めながら、柔軟な対応とサポート方法を解説していきます。
第1位:不登校や学校適応の問題
- 悩みの実情と増えている背景
- 不登校の初期サインに気づくポイント
- 家庭でのサポートと専門機関の活用方法
まず最初のテーマは「不登校や学校適応の問題」です。
この悩みは年々増えていて、文部科学省の令和5年度の調査(2023年度)によると、全国の中学校における不登校生徒数は21万6,112人で、過去最多を記録しました。
これは前年度から増加し、11年連続の増加であり、中学校の不登校の割合は約6.0%です。
私が教育支援カウンセラーとして親子の間に入り支援していたころの親御さんのからの相談内容としては・・・

「子どもが何を考えているのか分からない」
「何度言っても伝わらない」
親御さんとお子さんの間に距離ができてしまうご家庭が少なくありませんでした。
その一方で、お子さん側から話を聞くと・・・
「親に言っても無駄かも」「忙しそうだし心配はかけたくない」
「親だからこそ甘えられない…」と、実は良い関係が築けていても、思いがちゃんと届かないことが多々あることに直面しました。
こうした親子の間に入り、言葉にならない思いを代弁するのがカウンセラーの大事な役割であり
数多くのカウンセリウングをしてきたらからこそ、「保護者の方が抱え込まない」ことがとても大切であると実感しています。
思春期は、子どもが自分と周りとの違いに気づき、内面のギャップを強く感じやすい時期。
身体の成長や自律神経の乱れもあり、反抗期の「めんどくさい」「朝起きれない」「夜更かししたい」など、「サボっている」と思われがちな言動が初期サインだったり・・・さまざまな気持ちが混在して深刻化しやすいタイミングでもあります。
【初期サインに気づくには・・・】
お子さんの変化に気づくには、普段と違う様子を見逃さないことが大切。
母が感じる違和感はだいたい当たっています。
そのサインを見過ごさないで!ただ、正面から正論を伝えるのは逆効果になることも・・・どうしたらよいのでしょうか。
手や目をかけるのを卒業しても、心だけは離さずに見守っていけるといいですね。
【家庭でのサポートと専門機関の活用方法】
〜家族以外にも相談できる大人がいるかどうかはとても大切〜
この時期は同性・異性の親や兄弟、環境の違いも大きく影響します。
お子さんにとって信頼できる先生や先輩、習い事のコーチ、親戚など、家族以外の第三者の存在がとても大切。
周囲の協力を上手に借り、包括的に子どもを支える体制ができると理想的です。
そして何より、親御さんが「全て自分の責任」と思わないこと。
子どものSOSにどう寄り添うかを一緒に考えていくことが、これからの親子関係にとても大きな意味を持ちます。まずは相談をしてみましょう。
第2位:友人関係のトラブル・いじめ
- 中学生特有の友人関係の特徴
- いじめかどうかを見極めるサイン
- 保護者ができる介入の仕方と学校との連携
子どもの成長過程で避けて通れないのが、友人関係のトラブルやいじめの問題です。
人間関係のつまずきは、自己肯定感を大きく揺さぶるだけでなく、心身の健康にも直結しメンタル不調などにも簡単に影響します。
親にとって「どの段階で、どれくらい介入すべきか」は非常に悩ましいテーマです。
この「親の介入の線引き」について解説します。
【悩みの実情と増えている背景】
近年、SNSの普及やオンラインでのやりとりが増え、対面だけでなくデジタル上でのトラブルも増えています。私が支援してた方々も「会ったことない知り合い」がたくさんいて、保護者の方と時代の変化を痛感していました。
学校生活はもちろん、スマホのトークアプリやグループチャットでの発言がきっかけになることも多く問題が表面化しにくいのが特徴です。
また、コロナ禍以降のコミュニケーション不足により、対人スキルに不安を抱える子どもたちが増えていることも背景にあります。
【初期サインに気づくポイント】
親が気づけるように、日常の中でチェックしておきたいサインがあります。
まずは直近2週間
の子どもの様子を振り返ってみましょう。
当てはまる行動はサインかもしれません。
小さなサインにいち早く気づくことが、深刻な状況を未然に防ぐ手がかりになります。
【初期サインから親が気付いたケース】
親の介入事例1
中学生男児。
オンラインゲームにハマり、週末をきっかけに昼夜逆転する。
学校の授業も眠くて集中できず、勉強がわからなくなり、遅刻と欠席が目立つように。
親がやさしく話を聞いた。無理に問い詰めず時間をかけて心を開いてくれたので、ゲームの時間管理やルールを徹底。
また、学校での様子を担任の先生と連携できたこと深刻化を防ぐことができた。
親の介入事例2
女子グループでの「無視」や陰口が続き、娘が登校拒否。親が本人とよく話し合ったうえで、学校のカウンセラーと相談。学校側の指導と両輪でサポートした。
このように日常の小さな変化に気づき、親が「味方」であると伝えつつ、子どもが安心して話せる雰囲気作りや、必要に応じて学校・専門機関と連携することで、トラブルが深刻化せずに解決できます。
第3位:思春期の心身の変化対応
- ホルモンや身体変化による情緒の不安定さ
- 親が過干渉にならずに寄り添う方法
- 性教育や自己肯定感のサポート
思春期の子どもは急激な体の成長やホルモンバランスの変化で、理由もなくイライラしたり、急に落ち込んだりします。
この時期は心も体も大きく揺れ動き、子ども自身も「どうしてこんなに気持ちが爆発するんだろう?」と本人が一番戸惑っていて懸命にバランスをとろうとしています。
• 怒りっぽくなった、すぐ泣くなど感情がジェットコースターのようになる
• 親や周囲へ反抗的な態度をとることが増える
• ちょっとした出来事を過剰に気にしてしまう(不安が強くなる・ハイテンションになる)
【親が過干渉にならずに寄り添う方法】
「心配だから手を出さずにいられない」そんなときこそ、ぐっとこらえて「見守る勇気」が大切。
• 子どもの気持ちをまずは丁寧に聴く。
アドバイスを焦らず、否定せず「そう感じたんだね」と受け止める。
• 日常のちょっとした選択(遊び内容を決める、約束の時間をどう使うかなど)は子ども自身に任せる。【自己決定させる】
• 親も自分の時間や好きなことを持つことで、子どもにほどよい距離感が生まれる。
• 小さなチャレンジや努力を見つけたら「がんばってる!」「それいいね!」と声をかける。「見守っているよ」というメッセージは安心を生みます。
先回りしすぎず、時には失敗させてあげることも重要な成長の機会になります。
【性教育や自己肯定感のサポート】
性教育は、ただ知識を伝えるというより、「自分と他人を大切にする気持ち」を育てる絶好のチャンスです。
「イヤなことはイヤって言っていいよ」「自分の好きも堂々と言って大丈夫」と日々伝える。
「好きな色がピンク、でも周りに変って言われないかな?」そんな悩みには、「好きなものを大切にしていいんだよ」と応援する。
思春期の子にとって親の温かな関心と適度な距離感、失敗を認め見守る姿勢、そして日常に散りばめられた性教育が、長い人生の土台となる自己肯定感を育てます。
第4位:勉強のプレッシャー・進路選択
• 学力差や周囲の期待が与える影響
• 自主性を育てる勉強習慣の工夫
• 高校進学や将来の選択肢についての考え方
学習の難易度や上がり、一回授業で習っただけでは定着しない・・・など
理解度や記憶力の差が明確に出始める時期。
成績や模試の結果は、友人や同級生と比べられる機会が多く、どうしても「自分は劣っているのでは?」と自己肯定感が下がりがち。親や先生から「もっと頑張ってほしい」という期待もプレッシャーとして重くのしかかり、精神的な焦りや不安、不眠、家族・友人とのコミュニケーション低下につながることも・・・
【自主性を育てる勉強習慣の工夫】
子どもの「やらされ感」をなくし、自分から勉強できる習慣を作るにはコツがあります。
〜この3つが自主性を引き出すポイントです〜
• 自分で勉強時間や教材を決める「自律性」
• 「これできた!」という小さな成功体験「有能感」
• 家族や先生からの「見守られている安心感」
たとえば取り組むことを書き出し、共有できるようにしてできた部分を一緒に褒める。
勉強内容を会話でシェアするなど、学習を生活の一部に工夫して取り入れるのがおすすめ!
【高校進学や将来の選択肢についての考え方】
高校や将来の進路選択は、「自分の大切にしたいことは?」「何が好きか」から考えることが重要です。学年に応じて、
• 早めから興味のある仕事や分野を調べる
• 文系・理系選択やオープンキャンパスへの参加で視野を広げる
• 素直に「好き」「やってみたい」で選んで良いし、迷うことも自然
合格や偏差値だけでなく、入学後の学びや将来の働き方も想像しながら、自分に正直な選択肢を選ぶのが、後悔のない進路につながります。
親子で話し合いながら焦らず、長い目で見て最もよい結果につながります。
また、お子さんが決めたことをまずは尊重し応援する姿勢も大切なポイントです。
第5位:家庭内コミュニケーション不足
• 中学生が語らなくなる心理背景
• 会話を引き出すコツ(タイミング・質問の方法)
• 家族間で信頼関係を築く小さな習慣
【中学生が語らなくなる心理背景】
思春期の中学生は、自分の感情や考えを整理するのが難しくなったり、親に知られたくない秘密や悩みを抱えています。
また、「話すと否定されたり怒られたりするかも」という不安や、「話してもどうせ理解されない」と感じることから、自然と心を閉ざすことも増えます。
友達関係や学校生活の変化で気持ちが揺れ動きやすいこの時期は、親との距離をとって自立しようとする心理が強まるため、会話量が減るのは決して珍しいことではなく、健全な成長でもあります。
【会話を引き出すコツ(タイミング・質問法)】
中学生の話を自然に引き出すには、強制せずタイミングを工夫することが大切です。
たとえば、食事中やお風呂のリラックスした時間、車の中など、会話しやすい環境づくりが効果的です→タイミングが大事ということ!
質問も「○○どうだった?」や「今日は何か楽しいことあった?」のようにオープンエンド(答えが限定されない質問)が望ましく、「なんで怒ったの?」など詰問調は避けるのがポイント。短い返事でも受け止めてあげることで、安心感が生まれ、徐々に心を開きやすくなります。
【家族間で信頼関係を築く小さな習慣】
毎日の小さな積み重ねが安心できる家庭環境を作ります。
具体的には・・・
• 毎晩、簡単な「今日の良かったこと」を一人ひとりが話す時間を設ける
• 感謝の言葉を伝え合う「ありがとうノート」を家族で作る
• 親が自分の失敗談や感情を素直に話すことで、子どもも話しやすくなる。
こうした習慣は、親子の壁をゆっくりと取り払い、心の距離を縮めます。
中学生と親の間で自然なコミュニケーションが生まれることは、子どものこころの成長だけでなく、家族全員の居心地の良さにつながります。
焦らずじっくり、温かく見守りながら関わることができると良いですね。
最後に・・・
何より、保護者が「全て自分の責任」と思い詰めず、子どものSOSにどう寄り添うかを一緒に考えていくことが、これからの親子関係にとても大きな意味を持ちます。